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ニュース 2015.12.17

為末大さんが豊洲シビックセンターで講演 「障害者スポーツの未来」と新豊洲(講演会抄録Vol.4)

Vol. 4 障害者スポーツでのテクノロジーが社会に生きる

「次にテクノロジーについてですが、これは僕がまさに今、取り組んでいることで、遠藤謙という友人の義足エンジニアと一緒に「Xiborg(サイボーグ)」という会社を立ち上げました。遠藤が義足を作って、僕が選手のトレーニングを担当するというタッグを組んで、2020年に向けて、障害者スポーツのトップ選手を技術開発と選手育成の両面からサポートする活動を始めています。
遠藤はMITラボ出身のすばらしいエンジニアなのですが、義足の開発を始めたきっかけは、友人が病気で足を切断しなくてはならなくなり、遠藤はその時は日本でロボットの研究をやっていて、それでロボットの足をつければ、またその友人が歩けるようになるんじゃないかと考えたというんですね。かなり変わった発想ですが、世界中にはそういう変わった人がたくさんいて、遠藤の師匠となったMITのヒュー・ハー博士という人は両足を失いながら、自分で義足を作って、前よりロッククライミングの実力が上がったという人です。」

──パラリンピックの短距離走では、義足の技術進歩によって記録がどんどん伸びている。そうした状況は、昔のメガネと似ていると為末さんはいう。矯正器具としか見られなかったメガネが、今ではファッションアイテムと捉えられているようなことが義足にも起きるかもしれない。

「Xiborgの活動テーマは、全ての人に動く喜びを、ということで、義足の開発によって、沢山の人が義足を履いて歩き、走る喜びを感じて欲しいと思っています。ふだんはカーボン製の義足の試作品で選手に走ってもらったり、板バネを曲げる実験を繰り返したりで、反発がどれくらいあるかといったデータを取って、開発に活かす、ということをやっています。また走りの映像を色んな角度から撮影して解析するなんていう作業もします。よい義足をつくるのは本当に大変で、苦労しています。まあ苦労しているのは遠藤で、僕は後ろからやいのやいの言っているだけですが。
それで選手に走ってもらって、感想をもらうんですが、例えば「ビヨン感」が足りない、なんてコメントをもらったりするわけです。そうするとその「ビヨン感」とは何なのか、粘り強く弾くみたいなことだろうか?それを出すにはカーボンの層を厚くするのか、形状をかえるのか、などの試行錯誤を重ねるのですが、トレーニングと同時にそうした選手の言葉を解析して開発に伝えるのも僕の役目です。」

「Vol. 5 義足の進歩と選手の能力の関係」につづく

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