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ニュース 2015.12.04

為末大さんが豊洲シビックセンターで講演 「障害者スポーツの未来」と新豊洲(講演会抄録Vol.3)

Vol. 3 人間をよりよく知る機会になる障害者スポーツ

「こうした社会を変えるという観点から障害者スポーツの魅力を考えると、だいたい4つの要素に分解できると思っています。一つは障害者スポーツが、人間をよりよく知る機会になりうるということです。この点を僕が強く感じたのが、ブラインドサッカーです。
(ブラインドサッカーの画像が流れる)
ご存じのようにブラインドサッカーは、まったく目の見えない状態でプレーをしているのですが、実に素晴らしいプレーが多い。で、見えない中で彼らブラインドサッカーの選手はフェイントをするんです。考えてみてください。目隠しをした中で、目の前の人の動きをどうやって知るのか。それで彼らは、あいつはフェイントがうまい、とか、ものすごく高度な話をしているんです。とにかく見えないわけですから上半身の動きはフェイントにならない。音でフェイントをするわけですが、これは考えてみると、相手が気付いてくれなければフェイントにならないじゃないですか。音で右に行くという意思を見せながら、左に行く。いったいこの音が何に当たるのか、ということを常に選手たちは読みあいながらプレーをしているんです。
もう一つは彼らが記憶の世界の中でプレーをしているということです。例えば今、目をつぶっていただいて、10秒後に私がここにいる保証はない。でも彼らは元いた場所を起点として、10秒後の動きを想像して、何となくこの辺じゃないかな、と過去のイメージの中からプレーをする。リアルタイムではない記憶の要素も聴覚や他の感覚と一緒に複合的に頭を入れてプレーが行われているんです。もう話を聞けば聞くほど、わけがわからなくなってきます。衝撃的なんですね。」

──ある有名なブラインドサッカー選手は、騒音の中で8の字歩行をする実験で、正確に元の位置に戻ってくることができるという。視覚障害者は健常者よりこの「絶対位置」の感覚が優れているが、為末さんはその理由を、視覚障害者の聴覚が健常者より圧倒的に優れていて、音の反射を拾って、位置を確認していると考えていた。しかし音がわからなくてもこの『絶対位置』の感覚があるということは、視覚、聴覚以外にも空間を認識する能力を、人間は持っていることを示唆しているのではないか、と為末さんは推測する。

「こうした例を見ていて、僕はこれが企業研修などのビジネスになるんじゃないかと思ったんですが、実はすでにブラインドサッカー協会はその企業向け研修を始めていました。それは目が見えない状態でサッカーをしてみることで、チームワークとか信頼感、またそもそも自分たちが目に頼って生活しているということを実感させる、という意味があります。こうして考えると、むしろ健常者スポーツが障害者スポーツに示唆をもらうことがあるのではないか、と考えるようになりました。」

「Vol. 4 障害者スポーツでのテクノロジーが社会に生きる」につづく

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